がん患者さんとご家族の
ための生活情報番組

がんと生きる

第1回がん相談支援センターとは

――がんと闘う患者さんと、そのご家族のための生活情報番組『がんと生きる』。
この番組は、がんと診断された方、治療に取り組んでいらっしゃる患者さん、患者さんを支える家族の方に向けて、生活の助けとなる様々な情報をお届けしていきます。
お話を伺うのは、国立がん研究センター東病院 がん相談支援センターのがん専門相談員の坂本はと恵さんです。

坂本:よろしくお願いします。

◆がんにまつわることなら誰でも何でも相談できる~がん相談支援センター
――第1回となる今回は、がん相談支援センターについてお伺いしたいと思います。
坂本さんがお勤めになっている、がん相談支援センターというのはどういう所ですか?

坂本:全国に約400あるがん診療連携拠点病院に必ず設置されている相談部門で、がんにまつわることなら何でも聞いてくださいと、門戸を開いています。

――本当に何でも聞けるんですか?

坂本:そうですね。例えば電話での相談で「近隣にホテルはありますか?」という問い合わせもありますし、「主人ががんと診断されたのですが、自分ももしがんと診断された時のために備えておくことはないですか?」というご相談などもあって、患者さん自身についてだけではなく、家族や知人としてできる事なども幅広く相談を受けています。

――病気に直接かかわることでなくても相談していいんですね。

坂本:病院という場所にスムーズにアクセスできることはとても重要ですのでお尋ねください。また、治療を受けに行くにあたって情報があるかどうかで心配や不安の度合いが変わってきますので、がん治療にまつわる情報についての相談はもちろん多いですし、患者さんを支えるご家族など、周囲の方々からのご相談も多く寄せられます。

――病院で診てもらうと診察料がかかりますが、がん相談支援センターでは相談料は必要ですか?

坂本:ご相談は無料で受け付けています。


◆専門の研修を受けた相談員たち
――相談にはお医者さんが答えてくれるのですか?

坂本:いえ、看護師やソーシャルワーカー、社会福祉士などの資格を持っている者が一定の研修を受けていて、その相談員たちで対応しています。
もし相談員だけで解決が難しい場合には、状況に応じて、医師や、管理栄養士、リハビリのスタッフなど各専門職にお繋ぎしています。

――千葉県柏市にある東病院で相談に乗っていらっしゃる坂本さんも、お医者さんではないということですね。

坂本:そうですね。もともとの資格は社会福祉士です。
“社会福祉”というと、なかなか馴染みがないかもしれませんが、病気や怪我をすると、生活にまつわる変化がいろいろと生じますよね。仕事をどうやって続けていこう、とか、経済面の心配や、気持ちの落ち込みなど……。そうした様々な事に対して、社会制度を紹介したり、専門家にお繋ぎするということを専門領域にしている仕事で、「医療ソーシャルワーカー」とも呼ばれています。そうした資格を持ったうえで、現在はがん専門相談員をしています。

――実際に、がん相談支援センターに行きたい場合、どのように探せば良いですか?

坂本:インターネットを使える方でしたら、検索サイトで「国立がん研究センター」「がん情報サービス」というキーワードで検索すると、「がん情報サービス」のサイトが見つかります。そのサイトで「病院をさがす」というボタンをクリックすると、都道府県別に病院が出てきます。

――がん相談支援センターは、日本全国にあるんですよね。

坂本:はい。都道府県によってばらつきがあって、東京だと29施設ありますが、5~6施設しかない県もあります。
ただ、がん診療連携拠点病院でなくても、協力病院といわれる病院も各都道府県に設置されていて、そこでも同じような機能を持っていますので、そちらをご利用いただくことも出来ます。

――自分が診断を受けた病院でなくても良いのですか?

坂本:そうですね。基本的に、自分の病院の患者さんだけでなく、地域の皆さんからのご相談にも乗ります、と対象を広げている窓口ですので、遠慮せずにご利用いただいて大丈夫です。

――患者さんご自身だけでなく、ご家族や友人でも相談に行けるのですよね?

坂本:もちろん大丈夫です。


◆相談の半数が患者さん本人。内容は「体のこと」「心のこと」「暮らしのこと」
――坂本さんがお勤めの東病院の相談支援センターには、どんな方がいらっしゃいますか。

坂本:約半数が患者さんご自身で、4割くらいが患者さんのご家族、あとの1割は、患者さんの知人のほか、地域で患者さんに関わっている介護保険のケアマネージャーさんや訪問看護師さんといった医療福祉従事者の方からも相談をいただくことがあります。

――相談内容は、どのようなものが多いですか?

坂本:大きく分けて3つの側面があって、1つは体のこと。2つ目が心のこと。そして3つ目が暮らしにまつわることです。
まず、体のことですと、(主治医の)先生から治療方針を聞いたけれど、先生の言っていた言葉の解釈が難しいとか、「補助化学療法」って何だろうというような、用語の意味を教えてくださいという方もいらっしゃいます。
あるいは、今の先生から言われている治療法以外にも何か方法がないか探したいので、セカンドオピニオンという方法を取ってみたいのだけど可能ですか?という相談。
また、治療中の方だと、いろんな副作用が出てきているけれど、どういう対処をすればいいの?という質問がよくあります。抗がん剤治療というと、髪の毛が抜けるというイメージが強いと思いますが、爪が割れたり変色したり、手足がしびれたりというような副作用もあるということを知らない方が意外と多いんです。それで、家事をしづらくなってしまったとか、パソコンを打つのもしんどいので、少しでも症状を和らげる方法はないかといった相談もよくあります。

次に、心の部分では、やはり気持ちの落ち込みについての相談がとても多いです。
とにかく話を聞いてほしい、誰かに話をしたいという、ご本人からの相談はもちろん、ご家族の方からも、本人がすごく落ち込んでいる様子で家族としてどういう風に声をかけたらいいかわからなくて……皆どうしているんでしょうか、というような相談をよくお受けします。

最後に暮らしという側面でご紹介すると、最近多いのが、やはり仕事と治療の両立についてです。がんと診断を受けたことを職場にどう伝えたらいいんだろう、とか、復職にあたってどういう手続きをしたらいいですか、あるいは、仕事を辞めた方がいいですか、というような相談があります。
子育て中の方も多いので、子どもに自分のがんの事を伝えるべきなんでしょうか、というご相談。あるいは、他の方がどのような工夫をしているか知りたいので、子育て中のがん患者さんのコミュニティはありませんか、という相談もあります。
また、がん治療には非常に高額なものも出てきていますので、経済的な負担を減らすような方法がないでしょうか、というのもよくある相談内容です。


◆医療費補助など制度利用には必ず“申請”が必要
――治療費の話が出ましたが、医療費が一定の額を超えた場合、申請をすると返ってくるという制度があると思いますが、これも知っていて、申請をしなければ戻って来ないのですよね?

坂本:そうなんです。高額療養費制度といいますが、この制度を使うことを自ら病院に申し出ないかぎり、自動的には適用されないんです。
高額療養費制度というのは、まずはかかった医療費を、3割負担の方は3割の自己負担金を、一旦すべて病院に支払って、1カ月の医療費の負担が一定額を越えた場合、手続きをすれば返って来るという制度です。
これが原則ですが、限度額適用認定証というものを保険組合や国民健康保険の係から取り寄せて、あらかじめ病院の会計に出しておくと、1カ月の医療費が一定額に達した時点で患者さんに請求が行かなくなります。
いまは高額な抗がん剤も出てきているので、医療費がかかるごとに3割の負担を払っていたら、一カ月に30万円ぐらい払ってしまっていたという方が、実は結構いらっしゃいます。しかし、限度額適用認定証を出しておけば、収入に応じて設定されている自己限度額が8万円程度の方だったら、1カ月の窓口での支払いも8万円程度で収まります。ずいぶん違う話ですよね。

――知らないと申請しようがないですね。
ちょっとお金がきついんですけど……というな話を、がん相談支援センターでしていれば、(高額療養費制度に限らず)こんな制度やサービスがありますよ、ということを教えてもらえるかもしれませんね。
(制度やサービスは)知らないと利用できない。
利用しないからといって損をすることはありませんが、活用できた方がいいですよね。

坂本:そうですね。例えば今お話しした高額療養費も、ちゃんと国民健康保険に入っているから大丈夫だろうとか、お家で使えるような介護サービスも介護保険料を払っているからいつでも使えるはずだと考える方がたくさんいらっしゃるのですが、保険料を払っている=自動的に使える、ではないんですね。日本における制度というのは何でも、使う時に「使います」という申請をして初めて使えるようになるものがほとんどですので、その辺りも注意していただいて、現時点で自分が使える制度を見過ごしていないか、しかるべき手続きがちゃんととれているか、という確認の意味も含めて、(がん相談支援センターに)お声掛けいただくといいかもしれません。

――頭に浮かんだり、ちょっと心に引っかかっているような事は何でも話してみるという、そのくらい相談の間口が広いのが、がん相談支援センターだと思っていいですか?

坂本:そうですね。

――体に関すること、治療に関すること、それから自分の心やご家族の心のこと、お金のこと、子育ても含めた暮らしのこと……どんなことでも相談に乗ってくれるのが、がん相談支援センターなんですね。

坂本:はい。

国立がん研究センター東病院 がん相談支援センター がん専門相談員の坂本はと恵さん

国立がん研究センター東病院 がん相談支援センター がん専門相談員の坂本はと恵さん


――ありがとうございます。
がんと闘う患者さんと、そのご家族のための生活情報番組『がんと生きる』。
今回はがん相談支援センターについて、国立がん研究センター東病院 がん相談支援センターの坂本はと恵さんにお話をお伺いしました。

この番組では、がん相談支援センターが、相談にいらした方に答えていることや伝ていることを中心に、がんの治療に取り組んでいる患者さんやご家族に向けて、生活の助けになるような様々な情報を発信していきます。
また、番組ではお聞きいただいているあなたからのご意見やご感想、ご質問などを募集しています。
次回は、実際にがんと診断されたことを想定して、質問形式で坂本さんに色々とお話をお聞きして行きたいと思います。坂本さん、次回もよろしくお願いします。

坂本:よろしくお願いします。
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